どれだけの資産があればコーストFIREできるかの計算を考えます。
FIRE numberとcoast FIRE numberは異なる
まず、
- いくら資産があればFIREできるのか(FIRE number)
- いくら資産があれはコーストFIREできるのか(coast FIRE number)
は異なります。
コーストFIREの場合は、リタイアまで仕事をしてリタイアまでの生活費を給料でまかないますが、リタイアまでの間に一定の投資リターン(例:4%)があると想定するので、coast FIRE numberのほうがFIRE numberより少ない金額になります。
コーストFIREするにはいくら必要かの計算|4%ルール・25倍ルール
(1) FIRE number
まず、coast FIRE numberの計算をする前に、FIRE numberを求める必要があります。
FIRE numberは、「リタイア後に1年当たり必要な金額」x25で簡易的に計算できます(4%ルール、25倍ルール*)。
* 4%ルール、25倍ルールとは?
毎年、資産の4%の運用リターンが出ると想定し、運用利益で生活費をまかなえれば、資産がなくなる可能性は低い、とする考え。資産x25x0.04=資産 なので、1年の生活費の25倍の資産があればよい、と考える。(参照: Trinity Study(1998年の論文)に関するWiki)
25倍ルールを当てはめると、「リタイア後の年間必要額」と「FIRE number」は以下のようになります。
annual spending in retirement (リタイア後の年間必要額) |
FIRE number(生活費の25倍) |
$50,000 | $1.25M |
$60,000 | $1.5M |
$70,000 | $1.75M |
$80,000 | $2M |
$90,000 | $2.25M |
$100,000 | $2.5M |
例えば、リタイア後年$70,000必要と想定すれば、FIRE numberは$1.75Mとなります。金融資産+401K等の合計**が$1.75Mあれば、FIRE number達成です。
** FIRE numberを達成しているか、の判断に含める資産の範囲
通常net worth(純資産)を考える際には家も含めますが、このFIRE numberを達成しているかどうかの計算では家は含めない人が多いようです。というのは、上記の25倍ルールでFIRE numberを算出するのは、資産に対して4%の運用リターンがあると想定しているからで、家は4%のリターンの計算に含まれないからです。一方、老後に家を売る予定なら、含めてもよい、という考えもあります。
(2) coast FIRE number
coast FIRE number x (1 + 投資リターン率)^リタイアまでの年数 = FIRE number
( ^リタイアまでの年数は、指数です。^リタイアまでの年数”乗”となります。)
例えば、以下を想定します。
FIRE number:$1.75M
投資リターン:4%
5年以内にFIRE numberを達成したい
この場合、$1.75M / (1.04 x 1.04 x 1.04 x 1.04 x 1.04) = $1.43M
なので、現在$1.43Mあるならcoast FIRE達成になります。
4%ルール・25倍ルールを現実に当てはめて考察する
① 上記の計算例(25倍ルール・4%ルール)は、「資産に対して4%の運用リターンがある」と想定していますが、実際には、安定して4%のリターンを得ることは難しいと思います。リスク許容度が低く、低リスク・ノーリスクの資産運用(定期預金など)をしていると、平均すれば良くても2%のリターンぐらいかもしれません。
② インフレが続くと、リタイア後の年間必要額も上がるので、上記の計算例では足りなくなる可能性があります。
③ 上記の計算には日本の年金やアメリカのSocial Security benefitsは考慮していませんが、現実には、これらがもらえると期待しています。
④ 日本でリタイアする場合は、年間$70,000もいらないので、FIRE numberもずっと少なくて済みそうです。
⑤ 上記のように、純資産に家を含めるかどうか、純資産から子どもの学費分を差し引いて考えるか、など人によってアプローチが変わりそうです。
このように、現実はかなり不確定要素が多いです。
まとめ
コーストFIREするにはいくら必要かの計算を試みましたが、身も蓋もないことも言ってしまうと、不確定要素が多すぎて、細かく計算してもそれほど意味がない気がします。