フライパンを買うならPFASフリー(有機フッ素化合物フリー)がよい

PFASフリーのフライパン

 

1.PFOA, PFOSは現在のアメリカでは製造されていない

T-falティファール)のノンスティックフライパン(8 inch;20 cm)を、5年以上使用してきたので、そろそろ買い替えの時期になりました。特にコーティングが剥げてきたりとか、ノンスティック性が落ちてきた、ということはないですが、ノンスティックフライパンには寿命があります。

とりあえず、近所のTJマックスに売っているノンスティックフライパンを見に行ったところ、どの商品も「PFOAフリー」と表記されていました。

よく「PTFE(四フッ化エチレン;テフロンはデュポン社の登録商標)コーティングされたノンスティックのフライパンは良くないらしい」という話を聞きますが、具体的には、PTFEを安定化するための助剤として使用されるPFOA, PFOSが有害なのだそうです。

American Cancer Societyのサイト(Last revised July 28, 2022)によれば、以下のことが書かれています。

① PFOA (perfluorooctanoic acid:パーフルオロオクタン酸) とPFOS (perfluorooctane sulfonate:パーフルオロオクタンスルフォン酸塩) は、PFAS (perfluoroalkyl and polyfluoroalkyl substances) と呼ばれる有機フッ素化合物群のなかの2化合物である。

② PFOA, PFOSはアメリカでは1940年代から製品に使用されてきたが、現在のアメリカでは製造されていない。

③ アメリカ以外の国では、PFOA, PFOSを使用している例があるので、アメリカへの輸入品には注意要。

このような背景から、現在アメリカで売られているノンスティックフライパンとしては、PFOA, PFOSを含まないPTFEコーティング製品が主流です。

2.フライパンを買うなら有機フッ素化合物(PFAS)フリーがよい

上記のとおり、PFOAとPFOSは、PFASという有機フッ素化合物群のなかに入る2化合物です。そして、USA Todayの2022年3月7日付記事:What are PFAS? A guide to understanding chemicals behind nonstick pans, cancer fearsによれば、以下のことが書かれています。

①「PFAS」としては12,000もの化合物がある。
② これらのPFAS化合物は、炭素―フッ素結合をもつ点で共通している。
③ PFAS化合物の安全性は十分に検証されていない。

とすれば、商品に「PFOAフリー」や「PFOSフリー」と表記されているだけでは不十分で、「PFASフリー」と表記されたものを買うべきです。

例えば、アメリカで人気のAll-Cladのノンスティックフライパンでも、PFOA freeと表記されているだけなので、PFASは使われているようです。その他のPTFEコーティングのノンスティックフライパンとして人気のT-falやAnolonも、いろいろなサイトのQ&Aなどを見てみたのですが、PFASは使われているようです

使われている「ようです」と歯切れが悪いのは、コーティング部の組成成分をメーカーが開示していないからです。仮にPFAS freeならセールスポイントになるので、そのように表記するはず、表記していないということは、含んでいる、と予想します。

調べていたら、筆者と同意見のコメントがありました。”You probably have “forever chemicals” in your body. Here’s what that means. A chemist explains how PFAS can harm us — and what to do about them.”では、ハーバードで10年近くPFASの研究をしている化学者コメントが記載されています:
Just be careful when you see “PFOA free” on something like a nonstick pan, because then it probably means that they just use a different kind of PFAS. Look for “PFAS-free” or “certified nontoxic.”

やはり、買うなら「PFASフリー」と表記されたものがよいです。

そして、筆者調べでは、PTFEコーティングのフライパンで「PFASフリー」と表記している商品は存在しないです。

3.セラミックコーティングのフライパンもいまいち

PTFEコーティングと並ぶノンスティックフライパンの2大巨頭のもう一つ、セラミックコーティングについても調べました。

まず、セラミックコーティングの場合は、PFASの問題はないです。

ですが、セラミックコーティングの耐久性がPTFEコーティングより劣ること(よってフライパンの寿命が短い)、そして、セラミックコーティングが剥げると下層の金属が有害な場合がある(いかにも有害そうな鉛、カドミウム等の重金属だけでなく、基材のアルミニウム等も有害)、というデメリットがあります。

セラミックコーティングなら、GreenPan(グリーンパン)が名前も知られたメーカーだし、PFAS freeです。アマゾンのレビューを見ると、グリーンパンは比較的長持ちしそうですが、コストココストコでもグリーンパンが売っています)のレビューを見ると、すぐに剥げてきた、というコメントが散見されます。

以上の調査結果から、買い替えるフライパンとしては、「PTFEコーティング」「セラミックコーティング」は候補から外しました。筆者調べでは、「ノンスティック」や「コーティング」と表記のあるフライパンは、例外なく、「PTFEコーティング」か「セラミックコーティング」のいずれかなので、とにかく「コーティング」でないものを探しました。

4.ステンレスのフライパンにした

脱ノンスティックフライパン・脱コーティングフライパンをすべく、選んだのは、ステンレスのフライパンです。買ったのは、以下の2つです。

① Cuisinartのステンレスの8 inch(20 cm)のフライパン
② Tramontinaの12 inchの(30 cm)フライパン

なお、上記のフライパンを選ぶにあたり、アメリカで人気のAll-Cladのステンレスパンなどの高級路線も含めていろいろ検討しました。中でも、こちらのフードネットワークの記事The Rational Kitchenの記事は、圧倒的な情報量で、参考になりました。

比較的リーズナブルな価格帯のCuisinartやTramontinaのステンレスフライパンでも十分高性能であり、高級路線とほぼ変わりない性能である、と説明されています。サイトによっては、All-CladよりTramontinaが性能がベターと言っているものもありました。
実際に使ってみて、CuisinartとTramontinaのステンレスパンで、満足しています。

(1)ステンレスパンの使いごこち

8 inchのフライパンで、毎朝目玉焼きを作っています。初日は、失敗(フライパンに引っ付いて剥がすのが大変)しましたが、ユーチューブの「ステンレス鍋のための料理教室!大澤チャンネル」で勉強して、コツを身に着けました。

ステンレスのフライパンで目玉焼きをうまく作るコツは、
①最初に弱火で空のフライパンを4分ぐらい熱し、水滴を落としたらビー玉みたいに丸い水滴がコロコロ転がるようになったら、
②オイルを薄くひいてフライパン上で均一にならし、1分ぐらいそのまま熱し、
③事前に割ったタマゴを静かに投入、
④10秒したら、火を止めて、蓋をして余熱で4分調理、です。
これで、目玉焼きがフライパンから簡単に剥がせます(感動)。

12 inchのフライパンで、鶏もも肉の照り焼き、チャーハン、炒め物、などは上手にできました。餃子は、皮が引っ付きやすいので、最初は失敗しましたが、上記の「大澤チャンネル」の餃子の動画で勉強して、うまくできるようになりました。

(2)ステンレスパンのお手入れ

通常の汚れは、ざっと表面の汚れを落としてから、仕上げに、Bar Keepers Friendの粉を少量ふりかけて不織布のはぎれなどでこすると、ピカピカになります。

ですが、汚れが落ちにくいときがあります。水にしばらくつけて、プラのスクレイパーでだいたいの汚れをとってから、ナイロンたわしで軽くこすってます。「硬いスポンジで洗わないほうがよい」といわれていますが、「ナイロンたわしなら使ってよい」という情報もあるので、それを信じてます。ナイロンたわしを使うと洗うのに時短できます。

5.まとめ

小さい8 inchと大きい12 inchのフライパンを両方ともステンレスパンに買い替え、完全に「脱コーティング」しました。

ステンレスパンは、十分熱してから調理開始する必要があり、洗うのに多少は手間がかかるので家事楽という面ではコーティングパンにはかないませんが、ステンレスパンにして満足しています。なにしろ、安全で、長く使える、という絶大なメリットがありますから。

ところで、「脱コーティング!」と喜んでいたのもつかの間、炊飯器の釜がコーティングされていることに気付いてしまいました。でも、フライパンだけでも脱コーティングしたと、前向きに考えてます。

6.追記:アイリッシュバターの包み紙

2023年2月14日に「Kerrygoldアイリッシュバターを包んでいるフォイルシートにPFASが含まれている」とする集団訴訟がNY州連邦地裁に起こされたそうです。とりあえずKerrygoldのバターは買わないようにしますが、ほかのバターのシートがPFASフリーかどうかも怪しいです。PFASはハンバーガーの包み紙、ピザの箱の内側、電子レンジで作れるポップコーンバッグ、サラダのテイクアウト用容器、トマトソース缶(オーガニックのものも含む)、などで「食品がくっつかないようにする」ために広く使用されています。健康に害を与えるPFASの量など、これから分かってくるかもしれませんが、とりあえず今できることは、ジャンクフードや温めるだけの楽な食品は、ほどほどにすることでしょうか。

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