- 1.臨床心理士による診断結果が出た
- 2.診断結果は Level 1 ASD(旧名称:アスペルガー)
- 3.18の評価項目(Evaluation Procedures)
- 4.診断レポートを見て思うこと
- 5.今後
- 6.まとめ
1.臨床心理士による診断結果が出た
前回、うちの子が発達障害の診断テストを受けるまでの経緯を書きました。
その後、臨床心理士の正式な診断が出ました。
発達障害の診断を子どもに受けさせようか検討している方がいたら、少しは参考になるかもしれないと思い、体験談をシェアします。
2.診断結果は Level 1 ASD(旧名称:アスペルガー)
診断は、以下のものでした。
F84.0 Autism Spectrum Disorder, Level 1
通称、「Level 1 ASD」です。
ASDは、日本語では、自閉症スペクトラム障害や自閉スペクトラム症という名称のようです。
2013年に、アメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)による Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM-5)が発行され、これまで「アスペルガー症候群」と呼ばれていたケースは「Level 1 ASD」と呼ばれることになりました。
ASD には、レベル1, 2, 3があり、レベル1が相対的に一番軽度で、学力などに問題ないケースがレベル1 です。
一方、ADHD(注意欠陥・多動性障害)には該当しない、という診断でした。
3.18の評価項目(Evaluation Procedures)
診断レポートを見ると、親・担任の評価シートを含め、トータルで18のEvaluation Proceduresをしたと記載されています。本記事を見に来てくださる方が一定数いるので、何かの参考になるかもしれないとの思いから、以下に評価項目を書いておきます。
- Autism Spectrum Rating Scales (ASRS), Parent
- Autism Spectrum Rating Scales (ASRS), Teacher
- Beck Youth Inventories – Second Edition (BYI-2)
- Comprehensive Executive Function Inventory (CEFI), Parent
- Conners Comprehensive Behavior Rating Scales (CBRS), Parent
- Conners Comprehensive Behavior Rating Scales (CBRS), Teacher
- Conners Third Edition (Conners-3), Parent
- Conners Third Edition (Conners-3), Self
- Conners Third Edition (Conners-3), Teacher
- Delis-Kaplan Executive Function System (D-KEFS)
- Interview with Child
- Interview with Parents
- Multidimensional Anxiety Scale for Children 2nd Edition (MASC 2), Parent
- Multidimensional Anxiety Scale for Children 2nd Edition (MASC 2), Self
- Monteiro Interview Guidelines for Diagnosing the Autism Spectrum, Second Edition (MIGDAS-2)
- Observation with Child
- Records Review
- Wechsler Intelligence Scale for Children – Fifth Edition (WISC-V)
4.診断レポートを見て思うこと
(1)親と学校担任が記入する評価シート次第
診断の第一ステップとして、親と学校担任のそれぞれが、評価シート(親の評価シートは500問ぐらい、当てはまるものを選ぶ)に回答しました。 臨床心理士がこの評価シートに基づいて診断したわけですが、「ASDあり」と「ADHDなし」の診断においては、この親と学校担任の評価が最も重視されていました。 正直、評価シートに回答しているときも、どう回答するか迷う、微妙な質問も多かったですし(アメリカ人の旦那も回答に迷うと言っていた)、先生の評価に至っては、先生が厳しめに記入するかどうか、でかなり変わってくると思いました。 そういう意味で、「ASD あり」や 「ADHD なし」の診断は微妙(不確実)なものであると思いました。
(2)診断がついても、何も変わらない
今回診断を依頼したから、診断がついただけで、治療法があるわけでもなく、結果にショックを受けるわけでもなく、事態は何も変わらないです。 うちの子が Level 1 ASDの診断がついたからといって、ゲーム中毒が治るわけでもありません。 学校での504プラン(配慮)の検討、家での声がけの工夫、専門家のカウンセリング、といった複合的な試みで、Level 1 ASD とうまくつきあっていけるように導く、しかないようです。
(3)やはり、なんだか、若干もやもやする
上記のように、診断におけるメインの情報は親と担任の評価シートであり、臨床心理士が数時間かけてやったことというのは、executive function(実行機能)のテストと、面談による受け答えのチェック、そしてWISC-V(IQテスト)、がメインでした。 うちの子の実行機能テストにおいては、Level 1 ASDによく見られる弱みが(たくさん項目があるうちの)数項目見られたようですが、それ以外は平均もしくは平均以上のテスト結果であり、IQに至ってはかなり高い数値でした。 ASDの中でもレベル1, 2, 3があり、実行機能やIQを確認しないとLevel 1(軽度)と診断できないので、ひととおりテストしないといけないのでしょうが、結局は親と担任の評価シート回答のさじ加減次第なのが、若干もやもやします。
5.今後
Level 1 ASD(旧アスペルガー)の診断がついたからといって、直接的な治療法があるわけではありません。 とりあえず、診断レポートを学校へ提示して504プラン(配慮)を策定しました。
あとは、障害(空気読めない、こだわり、不注意、等)をうまくコントロールしていけるよう導くしかないです(言うは易く行うは難し、ですが)。
追記:うちの子は学校では選抜クラスに入っていますが、昨年度は宿題が多くて苦労しました。宿題の内容がオンライン教材を見てパワーポイントに記入、しかもパワーポイントに動くキャラクターが貼ってあったり(先生の趣味で入れているだけで、学習内容に関係ない)、宿題の指示内容に誤記(タイポ)が散見され(子どもは、誤記を見過ごせないので、そこで時間を浪費する)、オンライン教材でも広告量がすごい(女性の下着の広告が表示されたこともあった!)し、大量にリンクがあってリンク全部を読むのは無理(でも、子どもは律儀に全部読もうとする)、など「こんな宿題、大人でも大変」という感じでした。一方、今年度の担任の先生は「学校できちんと勉強すれば十分」という考えで、宿題も紙プリントに記入するタイプがときどきあるだけなので、我が家は比較的平和になりました。よって、子どもが昨年度荒れていたのは「変な宿題」のせい、かもしれません。
6.まとめ
発達障害の診断を受けようか検討している方がいたら、少しは参考になるかもしれないと思い体験談をシェアしました。
つい先日、アメリカの電気自動車(EV)メーカー「テスラ」のイーロンマスクCEOが、テレビ番組で自身がアスペルガーであると公表しました。
その箇所を動画で見ましたが、もともと才覚があって大成功しているし、話術も素晴らしく、アスペルガーをほぼ克服しているように見えました。
イーロンマスク氏の話はうちの子にもしました。
こういう成功者がアスペルガーであると公表してくれたことで、勇気づけられた人がたくさんいるはずです。